2015年度第一回目のテーマは ”遊び化”。今年も「au未来研究所ハッカソン」におじゃましてきました

2015.09.07Event

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昨年に続き今年も開催された「au未来研究所ハッカソン」。一般参加者を募りハッカソンの中で自分たちが欲しいプロダクトのプロトタイプを作成するという、企業の通常の枠組みを超えた夢のプロジェクトです。既報の通り今年のテーマは ”BE PLAYABLE”。Engadget日本版さん協力のもと、アイデア出しからダンボールプロトタイプの作成まで行った1日目、そして動作するプロトタイプ作成とプレゼンテーションを2日目、それぞれをレポートします。

5つのプロトタイプの中から1つのコンセプトモデルが生まれる1日目、ハッカソンのスタートに先立ち、KDDI株式会社宣伝部の塚本陽一さんから概要が説明されました。「自分たちが欲しい未来のプロダクトを自分たちで作る」 という目的のもと行われるハッカソンも去年に引き続きこれで2年目。昨年は”衣食住” というテーマに15種のプロトタイプが作成され、そのなかでもスマホと連動して歩くと音がなる子供用靴「FUMM」(フーム)がNew Balanceとのコラボレーションでコンセプトモデル製作に至りました。去年冬には “ママ代表” としてタレントの藤本美貴さんが同席した記者発表が行われました。「今回は5チームのなかから1つのプロトタイプが選ばれる予定。競争率が低いのでがんばってほしい。もしかしたら憧れの人と同じ壇上に上がれるかも?」との激励の言葉を受けてのハッカソンの開始となりました。

まず参加者が簡単に自己紹介を終えたあと5班にチーム分け。ハッカソンというとガリガリコードを書いていくイメージがあるかもしれませんが、au未来研究所ハッカソンではハッカソン経験者やプログラマーだけではなく、普段はクリエイティブワークにあまり触れることのない参加者も多いのが特徴です。そして講師である松村礼央さんがフィジカルコンピューティングとそれを取り巻く現在の環境を、小林茂さんがアイデアスケッチの方法を解説しました。さっそくプロダクト作成につなげるためのアイデアスケッチに各班が取り掛かります。

皆のアイデアを一つに収斂するアイデアスケッチのスタートは「いつ」と「だれが」の書き出しです。困りそうなタイミングや困っている人を考え羅列していきます。小林さん曰く、例えば「親」という漠然とした言葉ではなく「どんな年代の親」なのか?「朝」ではなく「爽やかな朝」や「徹夜明けの辛い朝」などイメージしやすい具体的な言葉に落とし込むのが良いとのこと。

「いつ」「誰が」の羅列が終わったら、マトリックスの横列に「いつ」、縦列に「だれが」を並べ、組み合わせを検証します。よくあるシチュエーションだけでなく、一見なかなかなさそうな状況の組み合わせでも、新しいアイデアが生まれる可能性があります。なかでも有望そうな組み合わせを2つ選出、次のステップへと進みます。

先ほど選出した「いつ」「だれが」の組み合わせをもとにいよいよ具体的なプロダクトのアイデアを考えていきます。さらに膨らませて「だれが」「いつ」「どこで」「なにを」そして「イメージスケッチ」を書くことでアイデアを文章化していきます。イメージスケッチは細いペン、太いペン、影を描くペン、特徴がある部分を目立たせる色付きのペンを使うことで自分の思い描いているイメージを “見える化” します。「絵が上手くなくてもこの方法ならそれらしく見える」と小林さん。どんなに優れたアイデアでも他の人に伝わらなければ意味はありません。何が新しいのか、何が面白いのかをチームで共有できるよう心がけながら、とにかくアイデアを書き出します。

それが終わると自分が書き出したアイデアを同じチームのメンバーに簡単にプレゼンテーション。自分一人の視点で考えたアイデアが、他の人の視点を得て思わぬ化学反応を起こすのも面白いところです。そして各班のアイデアを一気に張り出します。メンバーは好きなアイデアに投票、いよいよ各班が作成するプロダクトのコアアイデアが決定します。

たとえダミーでも、手に取れることで生まれるアイデア頭を動かした後は一旦手を動かす、ということで今回プロダクトのプロトタイピングに使用するkonashiについて松村さんからの解説が始まります。フィジカルコンピューティング用キットといえばArduinoやRaspberry Piがメジャーですが、どうしてもPCをしっかり触れる環境や知識がどうしても必要なもの。一方のkonashiはiOSとの連携を第一に考えられて設計されているため、簡単なデモならiOSアプリさえあれば実行できてしまうスグレモノ。さらに開発にはJavaScriptが使用可能で、jsdo.itにアップロードされたコードを直接実行も可能。各班実際にkonashiを組み立てて実際にテストしてみますが、ブロック感覚で組み立てられるからか、スルスルとテストできてしまうのが印象的でした。

konashiの性能を確認したところで、1日目の仕上げとしてまずダンボールを使ってモックアップを作成します。黙々と作業… そして1日目のクライマックス、各班のプレゼンテーションです。

1班は一緒に同じ時間を過ごせない家族のためのレコーダーのようなデバイス。カメラで家族の動画を撮影し、自分がいなかった間の出来事を教えてくれるというもの。

2班はテディベア型のコミュニケーションツール。ケンカをしたカップルなど「言いにくい言葉」をテディベアが声で代弁。テディベアをハグしたり叩いたりするとそれに対応したスタンプが専用アプリに送信されるというアイデア。

3班は “ドタキャンされたボッチ” を救済するためのデバイス。ボタンを押すことで他の周囲にいる ”ドタキャンボッチ” を検索する。

4班はセンサー内蔵の音と光を放つボール型デバイス。ボール個別に音をアサインすることもできるので色々な遊び方ができるというアイデア。

5班は高齢者が楽しんで外に出られるようにする杖型デバイス。周辺情報を分析し、何か面白いことがある方向に杖が勝手に動いて提案してくれる “振り回してくれる杖”。この段階ではかなり荒削りですが、 ここから2週間後の2日目に向けてアイデアのブラッシュアップ、そしてプロトタイプ開発に進みます。

チーム一丸となって追い込み、そして最終プレゼンテーションそして2週間後、ハッカソン2日目はプロトタイプの完成を目指しラストスパート。各班黙々と作業。またお昼を過ぎるとハッカソンの最終プレゼンに向けた準備も始まります。早速出来上がったプロトタイプを片手にイメージ映像を撮影したり、こんなライブ感溢れる展開もハッカソンらしい光景です。そしていよいよ、ハッカソン最終プレゼンが始まります! 最終プレゼンにはアーティストの鈴木康広さんも講師として参加します。

まずは1班が制作したのは家族見守りデバイス「kazokumo」。テキストメッセージでも音声通話でもビデオ通話でもない、食卓で使う照明型のデバイスです。プロジェクターとカメラ、マイク、Wi-Fiなどが組み込まれる想定で、家族の置き書きや行動ログをプロジェクションを通じて受け取ることができるというアイデア。例えば帰りが遅いお父さんも一人で食事しながら家族の気配を感じ取れる、だから寂しくないし、新しい間接的なコミュニケーションということでした。実際にコップを置いた位置に波紋が投影されるデモンストレーションも行われました。松村さんからはプロジェクションを使う場合は電気を消さなければならないことになるので、音など映像以外の表現があるといいのではというお話でした。確かに「人の気配」は視覚だけで形成されるものではないですしね。

5班は1日目では「高齢者向けの杖」の提案でしたが、「高齢者」というキーワードを残したまま全く別のアイデアに切り替え。まず人にとって一番辛いことは何か?という問いに対して「自分が “良い” と感じていることを、自分の好きな人に ”嫌い” と思われること」ではないか、という提示があり、その一例として「おじいちゃんと孫」の関係性を落ち出します。例えば孫はテレビゲームが遊びたい、でもおじいちゃんはけん玉で遊びたい…そのギャップを埋めるのが「エスパーけん玉」です。おじいちゃんはけん玉を、孫はスマートフォンを手に専用アプリを操作すると、けん玉に対して妨害を行うことができます。例えば玉にモーターが入っていて軌道が変わったり、受け皿の位置がモーターで移動してしまったり、剣先がヒュッと隠れてしまったりと驚きのギミックが詰め込まれています。講師の鈴木さんはけん玉が大好き、ということでぜひ今けん玉をプレイしている人たち(実は世界的に流行中)もぜひ観察して欲しいとのこと。個人的には今回のハッカソンで一番興味を惹かれた発表で、スマホはアシスタントして利用して、けん玉2台で勝負し、トリックによって相手を邪魔できるぷよぷよのようなルールになってると面白いのでは、とも思いました。

3班は “さらに上をいくお一人様スタイル” を実現するためのデバイス「bocchix」を発表。ヘッドフォン型のデバイスで、全体にイルミネーションLEDが搭載されており、自分のボッチ具合(SNSやメッセージングを監視して取得)によりイルミネーションが派手に点灯!周囲にボッチ具合をアピールするという仕組み。また盛り上がりすぎてしまった場合に自分に対してSNS経由で “注意” する機能も備えています。ヘッドバンギングや大声で歌ってしまった時にSNSという “人目に触れる場所” に注意を掲載することで自分を戒める、というのはなかなか面白いアイデアでした。講評では「ボッチの定義」で別れてしまい、強烈な個性があるが故にかなり人を選ぶデバイスになってしまったかもしれません。小林さんの講評では「bocchixがLEDでアピールする対象がbocchixを既に知っている人でないといけないため、何かイルミネーション以外にも汎用的に伝わる方法を考えてもいいのでは」という意見もあり、もしかするとボッチの合図が広がって大きなコミュニティ圏を作っている…という未来もあるかもしれませんね。

2班が発表したのは想いを伝えるテディベア「Warmy」。1日目のアイデアをほぼそのまま形になっており、専用メッセージングアプリとテディベアが連動してメッセージ(アプリ)→ボイス(テディベア)、ハグなどの物理入力(テディベア)→スタンプ(アプリ)という相互変換を解説していました。特にアプリのスタンプがかわいい!講評ではテディベアをどこに置くのが最適なのか、という議論に。通知用デバイスなら身近な場所になければならない、となると置物前提の大きなテディベアでいいのか?持ち運べるサイズでないといけないのでは?という疑問は確かにあるように感じました。ただ女子高生がダッフィーの大きなぬいぐるみをカバンからぶら下げている近年の様子を考えると、デザイン次第では案外受け入れられてしまうかも、という予感もありますね。

4班のテーマは “遊びを遊べ”。旧来からの遊びをアップデートするという発想で、新しいボール「あそぼール」を提案しました。スマホアプリと連動し、アプリ側で自分が録りたい音を録音。集めた音をあそぼールの1つずつにアサインすることで、音と光を使った新しいボール遊びができるというもの。衝撃に反応して動物の鳴き声がするボールや、自分の声を封入することも可能。実際のデモでは「慰謝料!」という声を収録したボールを遅く帰ってきた旦那に投げつける、というかなりシュールなデモも。講評では非常にシンプルなデバイス故に、使い方次第で広がるような余白を持ったものである、という評価もある一方、ユカイ工学の青木さんからは「ボールのサイズに現実的なデバイスを入れ込むのは難易度が高く感じる。ボール以外の形状でもいいのでは」という指摘も。個人的に「IDを持った小さなデバイス」と考えるとゲーム性が広がる、可能性のあるアイデアのように感じました。 こうして5つのデバイスの発表が終了。今後5つのデバイスの中から1つが具体的なコンセプトモデルに落としこまれることになります。こちらの進展はまだ先のことになるかと思いますが、楽しみに待ちたいですね!

去年に続き今年もアイデアに溢れたデバイスが多く登場し、制作過程、そしてアウトプット含め個人的にも勉強になるイベントでした。参加者の皆さん、au未来研究所の皆さん、講師の先生方、スタッフの皆さん、本当にお疲れさまでした!

Via.au未来研究所ハッカソン

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